人身事故の場合、怪我や治療行為についての理解が必要
私は、勤務弁護士時代は加害者側(損害保険会社からの依頼案件)、独立後は交通事故の被害者側、それに交通事故と医療過誤が競合して被害が拡大してしまった事案などを扱ってきました。
交通事故の場合は、医療過誤と異なり、過失の有無や割合などについては判例の事案が類型的に整理されているため比較的判断が容易なのですが、今日では医療行為が複雑化しているため、交通事故の損害賠償請求についても怪我の治療やその効果などについての理解が必要となることが多くなっています。このような場合、医療過誤事件と同様、医療に関する知識が役に立ちます。
私は、25年以上財団法人日弁連交通事故相談センターの示談あっせん担当弁護士を務めてきました。示談あっせんに際しては、加害者側、被害者側双方から話を聴き、利害調整をする必要がありますので、事案の解決に際してはこの経験も役に立っていると思います。
更には、重度の後遺障害(脊髄損傷など)の損害賠償請求については、被害に見合った損害賠償金額の算定や立証をいかに丁寧に行うかによって、実際に得られる損害賠償金額が大きく変わってくることが多々あります。私は、不幸にして重度の後遺障害が残ってしまった被害者の方々の損害賠償の算定や立証を丁寧に行うよう心がけてきました。
交通事故の被害者になってしまったら
自動車保険会社の提示する損害賠償の金額は、保険会社独自の基準によることが多く、弁護士が代理人となって示談交渉をした場合や裁判になった場合と比較して、極めて低いのが通常です。
弁護士に依頼しないときでも、各種ADR(日弁連交通事故相談センターの示談あっせん、紛争処理センター等)を利用された方が、実際に受け取ることのできる損害賠償金額がアップすることが多いのです。
弁護士に相談する前には、次のようなことを心がけておかれるとよいでしょう。
資料(診断書、領収書等)を取っておく。
自動車保険会社に提出するときも、必ず写しは取っておきましょう。
その他、交通費等についても、こまめに領収書を取っておいた方がいいでしょう。
治療の関係についても、診断書や入院証明書等の写しを取っておくことはもちろん、 いつ、どういう治療を受けたのか等の記録を取っておいた方がベターです。
担当医師との信頼関係を大切にする。
交通事故の場合、治療してもらう医師との信頼関係が大切になることが多いのです。
症状固定の時期(それ以上治療を続けても、症状の改善が見込めないという時期)や後遺障害の程度などについて、相手方の自動車保険会社が調査することがあり、そのときにはあなたの担当医の意見を聞きたいと言ってくることもままあります。また、後遺障害がある場合に、その具体的内容について担当医に診断書を作成してもらう必要もあります。
こういう場合に備えて、担当医とは日頃からコミュニケーションが取れるように信頼関係を築いておいた方がいいでしょう。
加害者や自動車保険会社の交渉担当者への対応は冷静に。
予期せぬ交通事故に遭い、加害者は丁重な詫びもせず見舞いにも来ないなどの理由で、被害者や家族の方々が加害者や自動車保険会社の交渉担当者に対して怒りの感情をぶつけられることは少なくありません。
しかし、それが損害賠償請求をするに際し、マイナスに働くことがあることにも注意をすべきです。
保険会社があなたの対応に意地になって、あなたの怪我の程度や勤務状況等を執拗に調査したり、突然加害者の代理人として弁護士をつけてくることもあります。
交通事故に限らないことですが、本来は示談が可能な事案であっても、感情のもつれにより、交渉が難しくなることもあります。
保険会社の交渉担当者との示談交渉がうまくいかず怒りを感じるときは、まずは冷静になって、弁護士に相談された方がいいと思います(弁護士であれば、交渉担当者の主張のうち、やむをえない部分と不合理な部分を選別してあなたに説明することが可能でしょう)。
また、自動車保険会社から損害賠償額の提示を受けたときには、その算定根拠等について分からないことがあれば、具体的に説明を求めるのもよいでしょう。
加入している自動車保険に弁護士費用特約がついていないか確かめる。
交通事故の被害者についても、入っている自動車保険に「弁護士費用特約」がついていれば、あなたが頼んだ弁護士の費用を保険会社が負担してくれることがあります。つまり、あなたが入っている自動車保険の種類によっては、一定の金額の範囲内で、あなたが弁護士費用を一切持ち出すことなく弁護士に依頼し、示談交渉や裁判をすることができるのです。
ですから、不幸にして交通事故の被害者になってしまったときには、ぜひご自分の入っている自動車保険の内容を確認してみてください。
交通事故のご相談時に持参して頂くとよい書類
交通事故の解決までに必要な費用
私の交通事故損害賠償請求事件における報酬基準及び実費(事件ごとに異なります)の概略は、次のとおりです。
示談交渉事件の場合、着手金と報酬金が必要となります。しかし、損害賠償請求金額を経済的利益として算定し一般民事事件の基準をそのまま適用すると、着手金があまりに高額となることもあり、事実上交通事故の被害者の方々が示談や訴訟をすることが困難になってしまいます。
このため、交通事故の損害賠償請求事件の場合は、一般民事事件の基準を次のように修正しています。
<当事務所の弁護士報酬基準>
着手金の内金(受任時に支払って頂く金額)(※1) | 着手金の残金及び報酬金(損害賠償金の受領時に支払って頂く金額) |
15万円〜30万円 | 受領した損害賠償金について一般民事事件の報酬基準で計算した「着手金と報酬金の合計額」から既払いの「着手金の内金」を差し引いた金額(※2) |
過失割合、後遺障害の有無・程度等には争いがなく、損害賠償金額のみに争いがある場合などに利用されます。
<当事務所の弁護士報酬基準>
着手金の内金(受任時に支払って頂く金額) (※1) | 着手金の残金及び報酬金(損害賠償金の受領時に支払って頂く金額) |
5万円+期日1回につき3万円 | 受領した損害賠償金について一般民事事件の報酬基準で計算した「着手金と報酬金の合計額」から既払いの「着手金の内金」を差し引いた金額(※2) |
過失割合、後遺障害の有無・程度、損害賠償金額の算定方法などに争いがあり、相手方が示談、調停、あっせん等に応じない場合には、訴訟を提起するほかありません。
<当事務所の弁護士報酬基準>
着手金の内金(※1) | 着手金の残金及び報酬金(損害賠償金の受領時に支払って頂く金額) |
受任時10万円〜30万円程度(+当初の1年間は毎月4万円、2年目以降は期日1回につき4万円) | 受領した損害賠償金について一般民事事件の報酬基準で計算した「着手金と報酬金の合計額」から既払いの「着手金の内金」を差し引いた金額(※2) |
上記報酬基準は概略です。
具体的な事案の内容や依頼者のご事情によって調整できることもありますので、ご依頼時にご相談下さい。
なお、ご加入の保険の「弁護士費用特約」を使用された場合には、保険会社の定める規定に従った法律相談料・着手金・報酬金・実費を、保険会社から支払ってもらう場合があります。