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医療過誤〜事故なのかミスなのか 冷静な分析が必要です〜

医療過誤事件について

 私は、名古屋の医療過誤問題研究会に所属し、定期的に医療過誤を疑う患者さんやご家族の相談にあたり、25年以上医療過誤事件の患者側代理人を務めてきました。その経験をかえりみて、今は医療過誤の被害者にとって過酷な時代になっていると思います。
 もともと医療過誤事件では患者側が原則として医療機関側の過失や因果関係を立証しなければならず、密室で行われることが多く専門性の高い医療行為について、これらを患者側が立証するには困難が伴いました。これに加えて、患者側による医師に対する責任追及が「医療崩壊」の原因であるかのように取り上げられることが多くなり、その影響もあるのか、裁判所の判断も患者側に厳しい傾向になってきたと感じます。
 しかし、実際には、医療過誤訴訟の件数自体は減少傾向にあり、患者側勝訴の確率も低下しているのです。
 患者側弁護士にとってこのように大変厳しい時代ではありますが、私はこれまでの経験や勉強を生かし、今後も医療過誤事件に取り組んでいきたいと考えています。 

医療過誤かもしれないと思ったら

 自分ないしは家族が医療過誤にあってしまったのではないか、と思われる方は少なくないと思います。高齢化社会となり高齢による身体機能の衰えに加えて様々な基礎疾患を持つ患者さんが増えるとともに、医療の専門性がますます高まって医療行為が複雑化しているため、医療過誤によるものかそうでないのかの見極めが非常に難しくなってきています。
 患者を取り違えたり手術中に体内のガーゼを取り忘れたなどという単純で明白な過失を除き、医療ミスが原因なのか、避けられない事故だったのか、素人には分からないことが多いのです。
 そのようなときは、やみくもに医師を責めるのではなく、次のようなことを心がけることをお勧めします。


 記録を取っておく。
  医療機関から交付された診断書、検査票などは捨てずに取っておきましょう。
 また、症状、もらった薬、受けた検査、医師や看護師からの説明内容なども、できる限 り記録しておいた方がいいでしょう。


 医師や医療機関からの説明は冷静に聞く。
 一見、医療ミスのように見えても、そうでないことも多々あります。
 納得のいかない結果となっても、まずは淡々と医師からの説明を聞きましょう。そして、聞いた内容は記録に取っておいた方がいいでしょう。
 また、やみくもに結果をとがめたりせず、質問するときも詰問調になることなく、冷静に質問をし、事実経過や医師の評価をきちんと聞いた上で記録しましょう。


 自身で調べられることは調べてみる。
  ご自身で病気や治療方法について調べてみるのもいいでしょう。
 今はインターネットでかなり専門性の高い知識も得られます。大きな図書館に行けば 医療関係の専門書も置いてあります。基本的な知識を得ることはそれほど難しくはありません。
 

 直ぐに医師や医療機関の責任を追及しない。
 医療過誤事件における最も重要な証拠は診療録や検査記録です。抗議したり、直ぐに損害賠償などの責任を求めたりすれば、診療録などが改ざん・隠匿されてしまう危険もあります。医療機関の方から責任を認め示談を求めてくる場合でない限り、証拠のないままやみくもに医療機関と交渉をしても逆効果となることが多いと思った方がいいでしょう。
 医療機関は、よほど明らかなミスでもない限り、患者側が抗議したり感情的になってなじったりしたところで簡単には責任を認めません。そのようなことをすれば、最も大事な証拠である診療録などの改ざん・隠匿がなされる可能性が高まりますので、医療ミスを疑ったときはまずは医療過誤を取扱分野とする弁護士に相談した方が無難でしょう。


 その医療機関で治療を受け続けるのであれば、セカンドオピニオンを。
  担当医の治療行為に疑問や不信感を抱いているものの、転院する決意がつかず、あるいは転院が困難な事情があるという場合は、セカンドオピニオンを受けたいと申し出て、必要な資料(検査画像など)を借り受けるという方法もあります。今日では、セカンドオピニオンを拒否する医療機関は殆どありません。
 ただし、セカンドオピニオンを希望することで医療機関側に警戒感が生じ、診療録などが改ざん・隠匿される危険が生じることには留意するべきです。


弁護士報酬と実費

 弁護士の報酬は現在は自由化されておりますので、弁護士ごとに報酬基準が異なります。
 当事務所の医療過誤事件における弁護士報酬基準及び実費の概算は、次のとおりです。

1.証拠保全の申立て・調査

 個人情報保護法の施行により多くの病院でカルテの開示がなされるようになりました。
 しかし、カルテの改ざん・隠匿の可能性が高いと思われる場合は証拠保全をしておいた方が安全です。
 
診療録等の証拠保全や調査は、その後の示談交渉、訴訟提起などの見通しを立てるために重要です。電子カルテシステムを採用する医療機関が増え、証拠保全ではその対応も必要となりました。証拠保全や調査は事件の見通しを立てる上で非常に重要です。これらをしっかりやるには、やはり経験が必要であると思います。

 <当事務所の弁護士報酬基準>
手数料 実費(※1)
25万円〜50万円(※3) カルテや写真類のコピー代
カルテの翻訳料
文献取り寄せ費用
協力医への謝礼金(※2)など
※1  実費は、カルテや写真類のコピーの分量、協力医に意見を求める方法(※2参照)などによって異なります。
※2  調査の際、協力医(第三者の専門家の立場から意見を述べてくれる医師)に対する謝礼金が必要となることがあります。
 この金額は、口頭での意見聴取にとどめるのか、意見書を作成してもらうのか(更には意見書に名前を入れてもらうのか)などによって異なります。
 また、弁護士が協力医と面談する場合、交通費、日当(遠方への出張の場合)が必要となることがあります。
※3   手数料の金額は、事案の複雑性や調査の困難性などを考慮して決めさせて頂きます。
 たとえば、産科医療補償制度に対する補償申請に関する援助などを希望される場合は手数料を加算(5万円〜15万円程度)させて頂きます。 
 産科医療補償制度を利用する場合、補償が得られるかのみでなく、同制度における調査結果がその後の示談や訴訟に大きな影響を及ぼします。そのため、産科医療補償制度への対応はとても重要です。
 産科医療補償制度の手続については、左のリンクの産科医療補償制度のHPをご参照下さい。

 なお、手数料には別途消費税がかかります。
 
2.示談交渉事件

 調査の結果、医療過誤である可能性が高く、過失などの立証の見込みが立てば、損害賠償などを求める示談の申し入れをすることになります。
 示談交渉事件の場合、着手金と報酬金が必要となります。しかし、損害賠償を求める金額をそのまま経済的利益として一般民事事件の報酬基準に基づいて算定すると、着手金があまりに高額となってしまい、医療過誤の被害者の方々が示談交渉や訴訟を弁護士に依頼することが事実上困難になってしまうことがあります。
 このため、私は、医療過誤事件の場合は一般民事事件の報酬基準を次のように修正しています。

<当事務所の弁護士報酬基準>
  
着手金の内金(受任時に支払って頂く金額)(※1) 着手金の残金及び報酬金(損害賠償金の受領時に支払って頂く金額)
20万円  受領した損害賠償金について原則として一般民事事件の報酬基準で計算した着手金と報酬金の合計額から20万円を差し引いた金額(※2)
※1  この着手金の内金は示談交渉が決裂したときにもお返しできません。
 また、示談交渉中にも文献の調査や協力医からの意見聴取などが必要となったときはその費用などを別途実費としてお支払い頂くことがあります。
 原則として一括で支払って頂きますが、次の条件を充たす場合は例外的に分割払いに応じます。
  ・一定の月収のあること
  ・毎月きちんと分割金の振り込みができること
※2  示談が成立しなかったときは、実費以外に着手金の残金、報酬金を支払って頂く必要はありません。

 なお、着手金の内金、着手金の残金及び報酬金には別途消費税がかかります。

3.調停、弁護士会のあっせん申立て

 医療ミスであること自体にはほぼ争いがなく、損害賠償の金額のみに争いがある場合などに利用されます。

<当事務所の弁護士報酬基準>
着手金の内金(受任時に支払って頂く金額)  (※1) 着手金の残金及び報酬金(損害賠償金の受領時に支払って頂く金額)
受任時15万円+期日1回につき4万円  受領した損害賠償金について原則として一般民事事件の報酬基準で計算した着手金と報酬金の合計額から左記着手金の内金を差し引いた金額(※2)
※1  この着手金の内金は調停やあっせんが成立しなかったときにもお返しできません。
 また、調停やあっせん中にも文献の調査や協力医からの意見聴取などが必要となったときは、その費用などを別途実費としてお支払い頂くことがあります。
 調停の場合は裁判所に支払う切手・印紙代が、あっせんの場合は弁護士会紛争解決センターに支払う手数料が別途必要となります。愛知県弁護士会の紛争解決センターにおけるあっせんの手続・費用については、左のリンクの愛知県弁護士会紛争解決センターHPをご参照下さい。
※2  調停やあっせんが成立しなかったときには、実費以外に着手金の残金、報酬金を支払って頂く必要はありません。

 なお、着手金の内金、着手金の残金及び報酬金には別途消費税がかかります。

4.訴訟事件

 調査の結果、医療過誤である可能性が高く、その立証の見込みも立っているにもかかわらず、医療機関側が過失や因果関係を争い、示談、調停、あっせんに全く応じない場合には訴訟を提起するほかありません。
 医療過誤訴訟の場合、(残念なことではありますが)立証が難しく、他の民事訴訟に比べて長い期間を要するというのが現状です。受任弁護士の負担も大きいので、訴訟の場合は事案によっては2人以上の弁護士で担当させて頂くこともあります(但し、弁護士報酬が2倍かかるというわけではありません)。

<当事務所の弁護士報酬基準>
着手金の内金(※1) 着手金の残金及び報酬金(損害賠償金の受領時に支払って頂く金額)(※2)
受任時30万円+当初の1年間は毎月4万円、2年目以降は期日1回につき4万円 受領した損害賠償金について原則として一般民事事件の報酬基準で計算した着手金と報酬金の合計額から左記着手金の内金を差し引いた金額
※1  訴訟の委任を受けてから最初の1年間は主張・立証の準備などに時間を要することが多く毎月1回程度の割合で裁判の期日が入ることが多いので、着手金の内金として毎月4万円を支払って頂き、2年目以降は証拠調べに入るなどのため裁判の期日も2,3ケ月に1回程度の割合に減少することが多いので期日1回につき4万円の割合で支払って頂くことにしています。
 但し、他の支払方法(1年分まとめての支払い、半年ごとの支払いなど)を希望されるときはご相談に応じます。
 なお、お支払い頂いた着手金の内金は、訴訟の結果いかんにかかわらず、ご返却することはできません。


 また、医療過誤訴訟の場合、訴訟提起時に裁判所に印紙、切手を納める必要があり、立証に際し鑑定費用が必要となることがあります。鑑定は必ず実施されるとは限りませんが、立証のためにどうしても専門家による鑑定が必要となることがあり、その費用は(事案の内容や鑑定医によって異なりますが)通常数十万円程度は必要です。
※2  敗訴した場合は、実費以外に着手金の残金及び報酬金を支払って頂く必要はありません。

 なお、着手金の内金、着手金の残金及び報酬金には別途消費税がかかります。
 上記報酬基準は概略です。
 具体的な事案の内容や依頼者のご事情によって調整を致しますので、ご依頼時にご相談下さい。

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弁護士一口アドバイス

リンク   

 
 薬の処方箋や説明書、領収書なども捨てずに取っておきましょう。

薬


 医療過誤事件では、診療録や検査記録が重要な証拠となります。

 特に、レントゲン、CT、MRI、超音波検査等を受けておられるときは、その画像が重要な証拠となることが多いのです。


超音波検査

 調査のためには、多くの場合、これらの検査の画像の入手、検討が必要となります。

CT画像




 手術のミスの場合は、手術記録(あれば手術ビデオも)、麻酔記録、看護記録などが重要な証拠となります。

手術



 医療過誤といえるか否か、医療過誤であるとしてもその立証は可能かなどについて見通しを立てるためには、十分な調査が必要です。
 十分な調査を行うには、ある程度の時間と費用が必要であることをご理解頂きたいと存じます。


 

調査結果の説明

 調査の結果は十分ご説明させて頂きます。

 但し、調査の結果によっては、医療過誤とはいえない場合や医療過誤の疑いがあっても立証が困難で裁判をしても勝訴の見込みが立たない場合もあります。
 そのような場合は、調査のみで終了し、示談交渉や訴訟提起のご依頼には応じられないこともあります。

 証拠保全や調査に要した費用は戻りませんが、調査を全くしないで、あるいは不十分な調査のまま、医療ミスとの思い込みのみで、訴訟提起に踏みきることはお勧めできません。

 
費用や時間を無駄にしないためにも、十分な調査が必要であることをご理解頂きたいと存じます。












著書(共著)
  
     

     



 医療過誤事件は、他の民事事件に比べ、弁護士にとって特別の努力や時間を要することが多い事件です。解決に至るまでに長期間を要することも多く、それまでにある程度の報酬を支払って頂かないと弁護士も十分な活動ができません。

 着手金をゼロやゼロに近い少額にするかわりに、医療過誤事件が困難であることを理由として、高額な成功報酬を請求する弁護士もいます。そのため、せっかく勝訴しても、被害者の方の手元に入る損害賠償金が極端に少なくなってしまうこともあります。

 私は、弁護士報酬は自由化されたとはいえ、それなりの相場があるべきだと考えています。
 医療過誤事件が困難な事件であるからといって、弁護士の成功報酬がどんなに高くてもかわまわない、という考え方にはくみしません。弁護士にとって困難な事件は、医療過誤事件に限らないからです。
 
 また、医療過誤事件といっても様々な事案があり、医療機関側が過失や因果関係を争わない事案、過失や因果関係の立証がそれほど難しくない事案も含まれます。
 ですから、医療機関側の主張が明らかではなく、事件の見通しが立っていない段階で、成功報酬を何%などと一律に決めることはしていません。

 そこで、私は日本弁護士連合会がかつて定めていた弁護士報酬基準(旧基準)をベースにして、右記のように弁護士報酬を調整させて頂いております。成功報酬の金額は、事件終了後に、報酬基準の範囲内で、事案の難易度、解決までに要した時間、労力等を考慮して決めさせて頂いています。

 弁護士報酬についてご不明な点がございましたら、お気軽にお尋ね下さい。